2010年01月29日

走れ!ビスコ / 中場利一

★★★★★
エピソードの入れ方が巧みかつポップ

実際の企業は、本編のようにいち新入社員にいきなり多くを抱え込ませたりはしないだろうが、読んでいくにつれて、自分は何をしに会社に行っているのか?そして何をすべきか(或いは何をしなければならないのか)を改めて考えさせられる。

舞台となっている主人公が働く大阪の製菓会社は、パワハラまがい、不倫、ワンマン、お嬢様社員の我儘といった、一癖も二癖もある人たちの集まりで、同族企業におけるあるあるネタ(例:トップさえ説得すればトップダウンで迅速に物事が進む。その一方で経営者の暴走を社員が止められず、社員が尻拭いをする)や、ダメ社員に振り回されて翻弄されるなど、ジェットコースターの如く話が展開されていく。

ストーリーのアップダウンの落差が、読み応えに比例するのだとしたら、そのねじ込み方が良い意味で巧みだなぁと感じました。面白い小説の基準の一つとして、『一気に読めるかどうか』というものがあると思うので。

2009年10月19日

伊集院光のでぃーぶいでぃー ~アクトレスが泣くのです!選手権の巻 / 2009年・日本

★★★★★
基本的にサディスティックであることを再認識

伊集院光が、自身の後輩であるホリプロの若手女優を、普通だったら思わず吹き出してしまうような状況に追い込んだ上で泣く演技をさせるという、『黒い伊集院光』の要素のひとつであるサディスティックな部分が露わになっている。にもかかわらず、しっかりと悲しみをこらえて涙を流す若手女優陣(グラビアアイドル?)に思わず驚嘆してしまった。
また、前シリーズである「ばんぐみ」や「しんばんぐみ」また、大元であると思われる「月刊イジューイン(MONDO21)」を含めて共通して言えるのは、今までであったら自身のラジオ番組(深夜の馬鹿力)のレーティング(聴取率調査週間)時に実施していたであろう内容や企画を映像化させているということ。
ラジオで似たようなことをやっていた時は、映像なしでは厳しいものも結構あったため、映像でしか出来ない珍企画を行なう場として、このシリーズは是非とも続けて欲しいものです。
とは言っても、地上波のバラエティ番組でも広告収入に次ぐ柱として、DVDの売り上げで利益を確保するといった流れが見られる昨今、詳しくは分かりませんが、もしかしたら放送当時提供スポンサーが付かず、スポットCMしか流れていない状況ではかなり厳しいのでしょうか。

2009年10月15日

CC-MC100W / キャットアイ

★★★★☆
基本機能さえあればよい人に最適

ハートレートモニターやラップタイム、消費カロリー計算といった機能は無いが、走行速度・平均時速・走行距離・走行時間といった基本機能はちゃんと備わっているので、通勤・通学や趣味でウン十万円もするようなロードバイクやではなく、数万~十数万円程度のロードバイクやミニベロに最適かと思います。
製品そのものに対しては、おおよそ満足しているのですが、もっと欲を言えば、自身は夜間に自転車に乗ることが多いので、バックライト機能に期待していたものの、ボタン電池の消耗の関係もあるのでしょうが、腕時計のバックライトよろしく、ボタンを押してから数秒で消えてしまうので、その部分だけは少々残念ではあります。多少製品の体積が大きくなってもよいので、常時バックライトが点灯出来るモデルがあれば、夜間でもハンドルを離すことなく速度や距離の視認が容易に出来ますし。

2009年10月14日

のはなしに / 伊集院光

★★★★★
不器用さをロジカルに表現できる稀有な存在

前作から2年、配信媒体だったツーカーセルラー東京が消えてなくなってから1年半。続編を望む声に押しつぶされそうになったり、ようやくやる気になって、違った環境に身を置いて作業を進めるべく、『サンライズ出雲』にPCを持ち込んで作業をしようとするも、うとうとしてしまい、気が付きゃ宍道駅付近だった (ラジオ「深夜の馬鹿力」より抜粋)などといった紆余曲折を経て満を持して、満を持し過ぎた故に危うく弓が切れそうで切れずにようやく発売された本書。
当然ラジオのオープニングトーク(とはいっても、2時間番組のうち1/3程度が費やされるほど長い)の内容と被る部分は出てくるのだが、ラジオと異なり、話の途中で右の乳首から変な液体がビュービュー出たり、アピヨン星人が出て来たりするくだりがない分だけ、うまくまとめられているのは前作同様である。 リスナーでなくても、『アメトーーク』の「中学の時イケてないグループに属していた芸人」や、さくらももこ著『永沢君』が好きなら、本書もスッと読める筈。

読後の感想としては、あくまで勝手な解釈ではあるが、文章全体から、本当はみんな大なり小なり「ダメな部分」があるくせに、なにしゃらくさい事しているんだ?多少ダメでも、自分に正直な方が楽じゃないのか?というトーンが隠れているような気がするのは自分だけだろうか。

2009年09月29日

B-TW872 / パナソニック

★★★★☆
尻以外はOkay!!

フロントライトがパナソニックではなく、キャットアイ製であるのがちょっと気になるものの、今まで、帰り道のことを考えて遠出できなかったが、折りたたんで別売りの専用袋に詰めれば電車の中に持ち込めるようになっているため、何の躊躇も無く隣の県まで出かけることができるようになったのが非常に大きい。 あとは各々の好みでサイクルコンピュータを付けたり、LED灯に交換するなどしてアレンジすれば良いでしょう。

乗り心地に関しては、スポーツ車と同様、サドルにスプリングコイルが無いため、軽快車に乗り慣れた人が長時間乗り続けると、お尻を痛くしてしまうかもしれないが、自転車用品店や東急ハンズなどで売られている、ジェルが入ったサドルカバーを使用することにより、ある程度回避することができるので、併せて購入することをおすすめします。

2009年08月27日

恋文の技術 / 森見登美彦

★★★★★
往復書簡の片道分

修士課程の研究のため、京都から能登半島に飛ばされた大学院生・守田一郎(チェリーボーイ)が、京都でかかわって来た人たちと、研究以外の愉しみと、寂しさを紛らわす手段として往復書簡を交わすという体で物語が進んでいく。
手紙を通じて、自分の好きな人に恋文が書けない、書けてもとんでもないものができてしまうくだりは、ウブでチェリーボーイだったあの頃の自分とオーバーラップしてしまう。
それでいて、大学院の修士課程という立場にありながら、主人公・守田と友人の小松崎は完全に『中二病』を患っているが、男と言うのはいつまで経っても、表に出す出さないは別として、つくづく女性に呆れられるライフスタイルを実践する生き物なんだろうなぁと改めて感じた。
また、昔、みうらじゅん氏が「童貞である期間が長い人ほど、クリエイティヴかつ知的な職業に就く割合が大きい」と言っていたことを思い出す。童貞を患っている主人公が文通に昇華し続ける理由は、きっとこのあたりにあるのかも知れない。

これを言ってしまえば元も子もないが、主人公の妹が言うように、結局のところは自分の想いを伝えるには、一対一で直接会ってお話した方がよろしいかと。
素朴な疑問として思ったのは、新人作家や文学賞応募作品で使うのは薦められていない、作者本人が登場するというくだりが許されたのは、それなりの作家であると世間に認められたということなのだろうか?

2009年08月23日

頭がいい人の聞く技術 / 樋口裕一

★★★★★
『コミュニケーション能力』の基礎

自分は学生の時ほどではないものの、相手の言葉をそのまま受け取り、相手が本当に伝えたいことを理解することに困難を伴っている。言いかえれば、他人よりもコミュニケーション能力が劣っているのだ。それによって仕事にも影響が出てしまっており、何とかするべく、本書を手に取った。

前半では、話を聞かない人や、聞けない人、本書で言うところの「コミュニケーション力」がない人の具体例を提示しており、明確にそうは言っていないが、読者にこれらの行動を反面教師にして動くことを促し、後半ではいかにして、相手の言葉の中から、本当に重要な情報は何かを選び、自分のものにしていくか、具体的な方法を提示している。

自身の、相手の意志や考えを聞く力や、コミュニケーション力を向上させるには、後半部分を繰り返し読み、その中から自分が出来ることから実行していくのが良いのだろう。

また、本文の、
「自分は優秀だ」「普通の人とは違う面白い視点を持っているんだ」という根拠のない自信を持っている。だから人の意見など聞く必要はないし、むしろ自分がたくさん話すことが、他人にとって有益だと考えている。それが無自覚だからやっかいなのだ。
というくだりは、自分にとって痛いところを突かれてしまった。

2009年07月27日

BH-BB01 / パナソニック

★★★★☆
製品としては及第点

製品を実際使ってみると、本体内にニッケル水素バッテリーが内蔵されており、手元から離れた所に製品の重心があるため、手前の方だけで持つと重たく感じるが、片手を柄の真ん中のほうで持つと案外重たく感じない。
もっとも、実際の質量は同社のレッツノート(DVDマルチドライブ搭載タイプ)とそんなに変わらない。
ここからはあくまで推測ではあるが、メーカーはバッテリー分の重量を軽くするために、長いコードを使って電源を取るという方法も検討したのだろうが、濡れやすい場所で使われるという製品の特性上、電源コードを使う方式にするとしたら、二線式プラグを採用している日本では、安全上の理由で清掃のたびにプラグとアースの両方を抜き差しするという非常に使い勝手の悪いものになってしまうため、止むを得ずこのような形になってしまったのだろう。
しかし、風呂掃除の際、力を入れて腰を屈めてゴシゴシする必要が無くなり、時間的にも肉体的にもかなり軽減されたことは、自分にとっては非常に大きい。
性能が向上したとはいえ、内蔵バッテリーがニッケル水素である以上、どうしてもメモリー効果の影響が頭をよぎるため、使用する度に充電するのではなく、殆ど使い切ってから充電するのが良いかと思います。

saku saku Ver.5.0 御題の復習 / 2009年・日本

★★★★★
saku saku中村優編の集大成

3年前に「アパートに入居してきた」ばかりで、何をどうすればいいか分からない状態だった中村優が、今作品ではそこそこのアベレージヒッターへと成長。 2009年3月をもって番組を卒業し、次の段階へ進む姿は、育成枠から支配下登録選手になっていくプロ野球選手のようでもあり、是非とも『一軍』で頑張って貰いたいと思わずにはいられません。
それにしても、いつもTVを通じてヴィンセントにいじられている中村優を見慣れていたせいか、セクシーグラビアで胸のふくらみを強調していたり、某何様のブランチでちょっとクレバーな部分を出している姿を目にすると、ちょっとした戸惑いを感じてしまうのは自分だけだろうか?

2009年04月13日

小説・秒速5センチメートル / 新海誠

★★★★★
アニメーション版の補足に

まず、 相手のことが好きで好きで仕方がないにも関わらず、うっすらと、この人とは一緒になれないと感じた瞬間の切なさや、その一方でそれを認めたくないという想い。時として酷な結果を突き付ける時間や運命の描き方が秀逸で、読後は切なさで胸が締め付けられるような感覚に陥った。

小説版においては、アニメーション版ではあまり触れられていなかった、中学生になった遠野貴樹が篠原明里に会いに栃木に向かう際、埼京線の中での、長野から東京に引っ越して来た時の思い出とのオーバーラップや、澄田花苗と姉とのやり取り。大学進学のために再度上京した遠野貴樹が東京でどう生きてきたかなどといったバックグラウンドやディテールが描写されており、アニメーション版と小説版とで相互補完されている仕組みになっている。

また、自分自身の勝手な想いであることは百も承知だが、自身の遠い学生時代に、好きだった女の子とは片想いのまま終わり、この物語のように仲むつまじく様々な思い出を共有したことは無かったけど、街で学生服姿の男女のカップルを見るたびに、これから先、いかなる結果を迎えようと、彼等にとってこの瞬間が一生の宝物になるよう願わずにはいられなくなりました。