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01726漫画・挿絵・童画 アーカイブ

2012年3月22日

よつばと! 6 / あずまきよひこ

★★★★★
自転車(補助輪付き)、フォールディングバイク(ダホンとルイガノ)、ネクタイ、ジャージー牛乳、そして本棚

新しいもの(自転車)に強い興味を持って度が過ぎた行動を起こしたり、風香に牛乳を届けるくだりを見て、自分自身の、一つの目的を達成するために別の何かをおろそかにしてしまうパーソナリティを連想させ、可笑しさと自身の切なさが同時に湧き上がる不思議な感情に陥ってしまう。

『よつばとほんだな』については個人的な経験談で恐縮だが、どの家具屋に行っても自室にフィットする本棚は絶対に見つからないので、本作のように実は自分で作ってしまったほうがよかったりします。詳しくは『清く正しい本棚の作り方((TT)戸田プロダクション著)』を参照するとよいでしょう。側板と棚板をコーススレッドと木工用ボンドで固定しただけでは本の荷重に耐えることができないから、背面にも板を貼ったほうがいいです。

それはともかく、読み進めていくうちに、もしかしたらよつばは......なのでは? という疑念が湧いてきたのだが、それはそのうち明らかになっていくのでしょうね。

2012年3月21日

よつばと! 5 / あずまきよひこ

★★★★★
ダンボー、スズキ・アルトラパン、天体観測、レインコート、たくさんのてるてるぼうずそして海

やんだこと安田とネットでちょっとした人気を博しているダンボーが初登場。
自身はやったことがないのでよく分かりませんが、「冬のコミケ」とかでダンボーのコスプレすると面白そうではある。
また、この巻に限った話ではないが、本作に出てくる小道具のチョイスの数々がいちいち秀逸である。それゆえ、おそらく杞憂に終わるだろうが、安易なプロダクトプレイスメントに走らないことを願ってやみません。
一方相変わらず、巨大てるてるぼうずを中心にたくさんのてるてるぼうずを配置させてあやしい儀式を始めたり、「手のひらを太陽に」の歌詞を間違ったままレンタルビデオ屋で熱唱したり、「海にはクラゲがいる」から「海に行く」と曲解したりと、『大人の想像を超える行為だが、行為としてありうる』という、絶妙な行動バランスでよつばが動いているのが素晴らしいです。

2012年2月28日

外天楼 / 石黒正数

★★★★★
巧みなストーリーラインとゆるぎない世界観

最初はエロに目覚めた少年たちが「教育上よろしくない書籍」を入手する悲喜こもごもを描いていたのが、回を追うにつれ、さまざまな思惑や事件、欲望、倫理観などが交錯する群像劇に展開し、それらが一つの線でつながっていくさまは見事としか言いようがない。あと、狂言回しのアイツが…というところも。
著者の代表作である「それでも町は廻っている」とはテイストはだいぶ異なり、うっかり小学生が読んでしまったら思わず失禁してしまいそうなPG-12的な内容です。本作のように、SFとまでは言わないものの、新しい価値観が生まれ、広まっている近未来の社会に生きる人々を描くなら、小説よりも漫画のほうが合っているのかも知れません。強いて共通点を言えば、ある意味小説よりも小説っぽいところでしょうか。
また、年三回発行の文芸誌という少し特殊な形態での連載であったため、全一巻にもかかわらず、完結までにかなりの年月を要しながら、途中でグダグダになるどころか、ストーリーにまったくブレがないことから、連載前には最終回のプロットが完成し、ネームもかなり早い段階で完成していたことが想像できます。

2012年1月16日

よつばと! 4 / あずまきよひこ

★★★★★
バドミントン、ニジマス釣り、失恋、ラジオ体操、新聞そしてつくつくぼうし

たたいてかぶってじゃんけんポンでとーちゃんにパーを要求したり、白い絵の具を水で溶いた『牛乳』をとーちゃんに飲ませたり、無邪気に風花に失恋の傷口にニジマスよろしく塩をすり込ませるようなダメージを与えたりと、よつばの『小さい子どもあるある』を凝縮した感じもさることながら、よつばと真正面から本気で向き合う、大人になりきれていない男たち(とーちゃんとジャンボ)の姿が可笑しくて仕方が無い。彼らのライフスタイルは、ある意味羨ましくはあるが。

2012年1月13日

よつばと! 3 / あずまきよひこ

★★★★★
小さな花火、四葉のクローバー、お花、動物園、フィアット・パンダ(てつだからもえない)そして大きな花火

本巻に限らず、本作品のすべてのおはなしに共通していることだが、よつばがトライアルアンドエラーを繰り返しながらも、少しずつ知識を吸収していく姿が丁寧かつ巧妙に描かれており、一作を描きあげるのにかなりの時間を要していることが容易に想像できる。
肝心のおはなしについてですが、個人的には第17話「よつばとフラワー」でバスに乗ってしまうよつばに風香が驚いてしまうくだりで小生の幼少期、独りで西武バスに乗り込み、次のバス停で降り、パトカーの後部座席に乗って帰ったという自身のエピソード(もちろん実話)とオーバーラップし、思わず吹いてしまいました。

2011年11月 4日

日常(七) / あらゐけいいち

★★★★★
自分自身のコモンセンスが問われる第七巻

メインの登場人物から離れたところで、サブキャラがフィーチャーされている『囲碁サッカー』の話の意図について分かってきたのは、これは一般的な日本人が持ち合わせていないコモンセンスに係る事柄に、一般的な日本人が接したらどうなるか?という、ある意味ひねくれたあるあるネタを作者は提示してみたかったのではなかろうか。と勝手に想像しております。現実世界の日本においては、おそらく「クリケット」「スヌーカー」「ペタンク」あたりが『囲碁サッカー』に相当するものなのかも知れません。実在はするけれど、それを知る者以外には皆目意味不明であるという点では共通していますから。そういう意味では『囲碁サッカー』の話は単なるエキセントリックなエピソードではなく、形は違えど誰にでも起こりうる話と言うことになります。下手に実在するマイナーな競技を取り上げて、ごく稀にいるその道のスペシャリストに揚げ足を取られるより、ゼロから新しいものを作ってしまった方がかえってやりやすいでしょうし、それどころか作者の中で、絶対に表に出さない裏設定がまだまだあるのやも知れませんね。

日常(六)オリジナルアニメーションDVD付き限定版 / あらゐけいいち

★★★★★
みおちゃんはPCを持ってないのでComic Studioはムダだなぁ…の第六巻

日常の88における、みおとゆっこが外国人に話しかけられてあわわあわわするシーンは、様々な漫画でよく見られるシーンではあるが、このテのエピソードの定番である英語をあえて使わず、タイ語とアラビア語を使ったのは、読者を確実に混乱させるためでしょう。英語だったら読める人なんていくらでもいますしね。
擬音語(例:フェっちゃんの「フロフロフロフロ」や桜井誠に放り出される泉の「ぺっ」など)・擬態語(例:「コツゼン」)・コンパリソン(例:中村先生のハートビート)の独特さと発想に感服。
これは勝手な推測ですが、日常の102においては、シュールなものに挑もうとして失敗するパターンを呈示することにより、本作がシュールな作品だと認識している読者に故意に混乱を与えているのではなかろうかと。
通常版の表紙がみさと、ウェボシー、フェっちゃんですが、特別版の表紙は猥雑な部屋で過ごすプリンセス・フェイ・スターラですので、気になる方は両方入手されては如何でしょう。
特別版のアニメーションは、原作には無いオリジナルストーリーが展開されています。これはTV版制作前のパイロット版だったのでしょうか。
あと、大工バーガーのBUTABARAバーガーはカロリー高そう。

2011年10月 4日

それでも町は廻っている 9 / 石黒正数

★★★★★
自分のこととなるとなぁ…

相変わらず『心はロンリー気持ちは「…」』を彷彿とさせる小ネタやメタファーの数々は健在です。 小ネタが健在なだけに、目次と、実際の話数にズレが生じているのはネタなのか初版のみの誤植なのか全く見当がつきません(苦笑)。 それはともかく、以前からちょくちょく触れていた、「真田君に惚れられていることに気付かず、物事を間違った方向に捉えてしまう歩鳥」の姿が、この第9巻において強調されています。

第71話(歩く鳥)は、本作のエピソードを大きく「スラップスティックコメディ系」「探偵・SF(すこしふしぎ)系」「ハートウォーミング系」(勝手に命名しました)の3つに分けるとしたら、「ハートウォーミング系」のベストではなかろうかと。図らずとも、歩鳥は結果的に双葉のことを救うことになるのだが、歩鳥が感じる双葉との距離感と、双葉が感じる歩鳥への距離感のズレの描き方が秀逸。

第72話(嘘つきリッちゃんの亡霊)は、見切り発車になりがちな子どもの妄想が見事に一つのストーリーとして完成していく様子は、産みの苦しみで作者が苦悶する姿が想像できるほどに「巧い」おはなしです。

第73話(森秋 夜空に散る)は、初期の作品で見られた森秋先生と西先生の関係に踏み込んだおはなし。このフラグの回収も近いのでしょうか。

漫画は雑誌掲載時には読まず、単行本で読む派なので、アニメーション化当時、単行本未収録だった第70話(大人買い計画)の原作をようやく読むことができました。
嗚呼、第2期アニメーション化されねぇかなぁ...。

2011年8月14日

日常(五) / あらゐけいいち

★★★★★
唯一シュールなのは麻衣ちゃんだけだなぁ。の第五巻

日常(一)のレビューで、他のレビュアーの方がシュール、シュールと言っている中、本作はスラップスティックコメディであると申し上げましたが、繰り返し読んでいくに従い、正確には登場人物の中で、唯一、水上麻衣だけは、彼女が取る行動そのものを切り取った場合、その行動は実際にすることは可能だが、そこに行きつくまでの発想が常人離れしているという意味において『シュール』であり、彼女以外は『珍奇』であることが分かってきました。勿論スラップスティックコメディである事は変わらないのですが。

あまり多くを語るとネタバレになるので、ちょっとだけ触れますが、絵の隅々までを見ると、日常の74から77と79から81.5が同じ日の出来事として描かれているのが分かるので、どこがどう繋がっているのかを探してみるのも楽しいかもしれません。

2011年8月10日

よつばと! 2 / あずまきよひこ

★★★★★
写生、リベンジ、ケーキ、ルノー・カングー、目玉風船、そして沖縄

第1巻から読み始めて、少しずつ分かって来たことは、本作はいわゆる藤子・F・不二雄作品によくみられる、『まともな人たちの集団の中で、珍奇な主人公がさんざん周囲を引っ掻き回すだけ回す』という王道パターンなのだが、他の作品との決定的な違いは、『こどもに関するあるあるネタ』と『シュール』(ここでは、よつばが周囲の想像を超える行動を取る一方で、その行動や出来事そのものが現実に発生しうるという意味であり、表面上の不条理さを指したものではない。もし『シュール』の理解が間違っているなら許してね♪)の境界線上を行ったり来たりしている、絶妙なバランスで物語が進行しているということ。

よつばの、人見知りをまったくしないところや、早坂みうらに対し、姓名を逆転して名を名乗るところ、年齢の割に横文字のボキャブラリーがあるところなど、日本人が持つコモンセンスを持っていないところを提示することにより、よつばが日本人ではないか、日本人だけど日本人としてのアイデンティティや価値観を持たないまま成長したかのどちらかであることが暗喩されています。事実は回を追うにつれ分かってくるかと思いますので、今後の展開が楽しみです。

とは言っても、全貌が分かるのは一体何年先になるのやら。

2011年8月 6日

日常(四) / あらゐけいいち

★★★★★
『みおちゃんのアレ』は\660也の第四巻

第三巻に続き、第一巻で『ふつう』と紹介されていた長野原みおの変人ぶりが増幅している第四巻。

スター○ックスでエスプレッソを頼もうとすると、おねえさんが小さいカップを見せながら「これくらいの大きさになりますけどよろしいですか?」と確認してくれるので、作中のように、ソロとドッピオで混乱を招く事は無いのでご安心を。研修中のおねえさんに当たってしまったゆっこの運が悪かったのでしょう。

ちなみに、長野原みおが頼んでいた「ホワイトチョコレートモカフラペチーノのグランデ、キャラメルソース、ヘーゼルナッツシロップ、チョコレートチップ、エクストラホイップのエスプレッソショット一杯」は、メニューには載っていませんが、実際に頼む事が出来ます。なかなかおいしかったですよ。値段は\660です。

あと、遊園地で財布を無くしたゆっこの『きれいなジャイアン』みたいな顔の表情は個人的にはツボ。

日常(三) / あらゐけいいち

★★★★★
力技で突破!?の第三巻

長野原みおの地獄突きやドラゴンスクリュー、「焼そばだよ!!!」の『顔芸』、朝礼でバタバタ倒れる先生と生徒、ステンドグラスと、全体的に本能のまま力技で推していってる印象。
ある意味に於いては酷すぎます。いい意味で。

2011年8月 2日

日常(二) / あらゐけいいち

★★★★★
登場人物とパーソナリティが固まりつつある第二巻

第二巻においては、主要なキャラクターのパーソナリティ(ほとんどのキャラクターにおいて、まともそうに見えてどこかしらの部分が変わっている、或いは珍奇に見える、または珍奇そのもの)が下記のようにほぼ確定し、読み手が理解できるようなストーリーが展開されています。
● ゆっこ(元気だが頭が悪い)
● みお(一見普通の女子高生だが想像を超える行動を取る腐女子)
● 麻衣(物静かな優等生だが自由過ぎ)
● なの(ロボットであること以外は常識がある)
● はかせ(行動は8歳の年相応の子供そのものだがマッドサイエンティスト)
● 阪本(比較的まともで教養もあるがしゃべる黒猫)

特筆すべきは、激しく動き回るキャラクターが多くを占める本作において、『静』のキャラクターである水上麻衣のボケは、『静』とのギャップも相まって、神々しいほどのデタラメに強いインパクトを与えているところでしょうか。或る意味酷すぎます。良い意味で。

第一巻で、原作において東雲なのは最初から時定高校に在籍している設定だったのかと思いきや、第二巻にアニメーションでも展開されていた高校編入エピソードが時間を前後して盛り込まれていたのにはやられてしまいました。

2011年8月 1日

よつばと! 1 / あずまきよひこ

★★★★★
なつのはじまり、引越、マツダ・スクラム、デパート、セミ、そして雨

以前から気になっていた本作の第1巻を入手。
単行本では明記されてはいないものの、それぞれのお話にはちゃんと日付けの設定があり、第1巻は7月下旬頃のお話であるとのこと。
腹を抱えて笑うようなお話ではありませんが、こどもならではの「大人の想像を越える動き」を、ギャグになるかならないかのギリギリのところで丁寧かつ巧く描いており、本書を読む前の自分の期待に応えてくれました。
一見すると何でもない毎日は、実は変化に富んだ毎日なんだよというメッセージが込められているのでしょう。
第2巻以降は『大人買い』します。

Helvetica Standard / あらゐけいいち

★★★★★
If I say like that!!

作者の別の作品である『日常』のアニメーション版の原作の一部(アニメーション版の『Helvetica Standard』だけではなく、本編のスキットにも流用されているものもあります)であり、かつ『日常』本作のスピンオフ的な作品です。
作品の性格上、『日常』のアニメーション版か、原作をある程度読んでから手に取ったほうが理解しやすいかも知れません。

それにしても、このフォント(よく知られた話だが、Panasonicのロゴや、JR東日本の駅名標(英語)のフォントがHelveticaである)の名前っぽいタイトルはどこから出てきたのだろうか?
あと、複数の登場人物が昔(藤井寺球場が本拠地だった頃)の近鉄バファローズのベースボールキャップを被っている理由はあまり考えないでおこう。

日常(一) / あらゐけいいち

★★★★★
Selamat Pagi!!

アニメーションきっかけで本書を購入。
原作では東雲なのは最初から時定高校に在籍しているのですね。

第1巻を読んだ感想としては、それぞれのキャラクターの動きが目まぐるしく、アニメーションを観ているかのような感覚を覚え、まるで、作者は最初から本作がアニメーション化され、メディアミックス展開されることを念頭に置いて描いたのでは?と思ってしまう程。もしそれが事実だとしたら、このストラテジー通りな状況に作者はニヤリとしているのやも知れません。
そういう意味ではアニメーションになるべくしてなった作品といえるでしょう。
『この作品は人を選ぶ』というレビューを展開されている他のレビュアーの方もいますが、あくまで個人の感想ですが、本作は肩肘張らずに読むスラップスティック・コメディかつ純粋なエンタテインメント作品かと。本作以上にシュールかつ破天荒な作品はいくらでもありますしね。

それにしても、繰り返しを表現するのに音楽記号を使ったのは旨いなぁ。

2011年2月21日

それでも町は廻っている 8 / 石黒正数

★★★★★
歩鳥の願いとは裏腹に…

あとがきで著者が述べているように、第8巻は歩鳥でもどうにもならない事を描いた話が収められており、第7巻第55話(時は待ってくれない)での「商店街もみんな今の感じが続くといいなっ…っていうか…誰にも嫌な事が起こらず誰ひとり欠けてほしくなくて…」という歩鳥の願いとは裏腹に、商店街のラーメン屋が店じまいしてしまう第65話(さよなら麺類)は、自分の意思とは関係なく、自分の周囲が少しずつ変わっていく様を端的に描いたお話(実はラーメン屋以外にも、シーサイドにもちょっとした変化があるようですが、それが何かは探してみてください)。
時が過ぎて、自身の置かれている立場が変わったり、人それぞれが意思を持ち、自身の目的に沿って生きている限り、誰がどんなに変わらないことを望んでも、それは無理な相談である事を再認識させてくれる。個人的な事を言えば、10年前と今の小生を中心とした相関図は全く異なっているし、20年以上前に通った通学路の里芋畑は今は一戸建てやマンションが並ぶ住宅地だ。

他の話においても、第61話(大怪獣 尾谷高に現わる)は、3年生になった歩鳥が映画研究会の新入部員勧誘用ショートフィルムの撮影を手伝ったことがきっかけとなって起きた騒動を描いたもの。歩鳥の推理が冴えわたり、事件は8割がた解決したが、残りは歩鳥でもどうしようもないことだったり、第62話(踊る大捜査網)においては、安楽椅子探偵を気取りながらも実は弟・猛の手のひらで踊らされているなど、タイトル(それでも町は廻っている)に含められた意味の一部を知った気がしました。当然著者の事ですから、ダブルミーニングどころか、トリプルミーニング以上のものが含まれているのでしょうけど。

2011年2月15日

それでも町は廻っている 7 / 石黒正数

★★★★★
2 stories in 1 episode!!

第51話(ホワイトデビル)における、RPGに例えた野球のルール説明が秀逸。野球のルールは一度覚えてしまえば何て事無いのだが、全く興味の無い人にとっては、『白い悪魔』が『聖剣』によって飛ばされている間に『砦』に行くのは分かったけれど、何故ノーバウンドでキャッチされたらダメなのか?『砦』を廻る方向が反時計廻りなのは何故なのか?ということに疑問を抱く気持ちは分からなくもない。小生は幸い、子供の頃、某プロ野球球団の本拠地近くに住んでいたため、スタジアムに行くたびに、ふと気が付けばルールを把握していたが、逆にルールを全く知らない麻雀に関しては、歩鳥と同じ状況に置かれていた訳ですから。グワッグワッ!!
関西人ではない森秋先生が、何故タイガースファンで、興奮するとエセ関西弁を使うのか(関西人以外が関西弁を使うのは「本物の関西人」が忌避することである)という謎の解明については今後に期待。

第55話(時は待ってくれない)は、表面上は調理実習の話だが、人知れず重大な決断を迫られ、悩む紺双葉と、意図せずに誰ひとり欠けて欲しくないと願っていると語る歩鳥。話が大きく進展している訳ではないが、紺双葉がどんな選択をするのかが気になるところ。

第58話(血のバレンタイン)も、表面上はシーサイドでバレンタインデーのイベントの計画を立てる話だが、実は真田君が何故歩鳥のことを好きになっていったのかが描かれており、一つの話の中に二つの事柄が並行しながら進行し、最後に一つに結び付くという話の組み立て方が秀逸。

あと、ようやくタッツンがレフティであることに気付きました。読むたびに新しい発見がありますね。ううっ、迂闊でした。小生もレフティのくせに。

2011年1月31日

それでも町は廻っている 6 / 石黒正数

★★★★★
ストマックキューッ!!

第6巻は特定の話が突出して良いのではなく、全体的に安定して良い話が続いているなと感じた。唯一しんどかったのは、基本的に恋愛のお話ではないことは分かっているが、真田君が優柔不断故に第43話(フリーマーケットで歩鳥とキス)での失敗を生かしきれず、第44話(ざっくばらん)でまたも失敗してしまう姿は、高校生の頃の自分を見ているようで少し胃が締め付けられるような感覚がしたくらい。言うまでも無く、これは個人的な感情なので、別に作者を含む誰が悪いというわけではないのだが。

第46話(タイムカプセル)は、昔の喫茶店にはテーブル型インベーダーゲーム(or アルカノイド)とセットで置かれていた、\100入れてレバーを引っ張ると結果が印刷された紙が出てくる占い機のお話。本当であれば、ちゃんと結果が印刷された紙が出てくる結果が印刷された紙が出てくるのだが、途中で業者から占いの結果の紙を買うのを止めたのか、幼少の頃の歩鳥と、女子高生時代の亀井堂静が仕込んだ点取り占いのパロディに入れ替わっているのにクスリ。ちなみに小生と占い機との出逢いは「ぎょうざの満州」でした。

第47話(ヒーローショー)では、「イカホース」の姿に思わず吹いてしまった。ユキコの「なぜオメガスティックをつかわなかった?」の問いの答えは「東映の許可が無いと使えない。」が正解かと。

第50話(まぼろしの少年)は福井が舞台のお話。他人の事(綾鳥真琴・ムーちゃん・有村奏也の関係)は目ざとく推理するくせに、東京に於ける自分の置かれている状況(歩鳥・真田・タッツンの関係)には全く気付いて居ない歩鳥にある種の可笑しさを感じた。

2011年1月30日

それでも町は廻っている 5 / 石黒正数

★★★★★
支配(?)からの卒業!?

表向きは、嵐山歩鳥の日常生活を描いたギャグマンガだが、日常生活の範囲内という制約を守りつつ、緻密に計算されたミステリー&(藤子・ F・不二雄チックな)SFを見事に共存させており、伏線やメタファーが沢山埋められているにもかかわらず、それをしっかり無駄にせず回収しているところがこの作品の凄いところ。その細かさには思わず脱帽してしまう。その考え方は、第39話(夢現小説)での亀井堂静の「歩鳥は毎日楽しいか?(中略)それを言葉にしていくのが小説なんだよ。突飛な事書こうとしてもだめなんだよ。」という発言に凝縮されている。

第36話(卒業式)は、歩鳥が数年ぶりに卒業した小学校を再訪したことにより、卒業とは物理的、心理的両方の意味において、自分自身の世界が広がる一つのきっかけであることを認識するお話。 小学生の頃は、自宅・町内・学校が自分の世界のすべてだったのが、中学、高校、大学、社会人とステップを踏むたびに、自分の行動範囲が海外にまで広がったり、自分自身で何かを決めることが出来る範囲が広がっていくさまを、嬉しさ半分、不安半分に感じていたことを思い出しました(言うまでも無く、尾崎豊は『卒業』で、自身の世界が限定的である状況を「支配」と定義していますね。)。そして本編では第42話(学校迷宮案内)への伏線が張られています。

第38話(俺たちは機械じゃねぇ)では、英国在住の紺双葉の両親が登場。今すぐという訳ではないが、日本に残るか、英国に渡るかの決断を迫られるフラグが立ったようですので、今後の展開が気になるところ。個人的な経験から言えば、なるべく早く決めないと家族としてのビザの発給が難しくなりますし。

第39話(夢現小説)では、幼少時の歩鳥の人格形成に影響を与えた近所の古物商のおねえさん、亀井堂静が門石梅和というペンネーム(亀井堂静のアナグラム) で小説家として成功し、その事実を隠した上で発売前の自著(異形回帰)を歩鳥に貸してみたり、金回りが良くなって購入した三菱i(アイ)の助手席に乗せたり、うなぎを奢ったりするといったヒントを与えておいた上で、いつ事実に気付くかを楽しむお話。この話をきっかけに、新しい展開がありそうです。

歩鳥の弟、猛がメインの第42話(学校迷宮案内)は、課題の壁新聞作成を通じ、一つ一つの出来事や証言を精査し、それを積み重ねる事によって小学校の中庭の謎と噂の真相に近づくプロセスを丁寧に描いた読み応えのある作品。

2011年1月27日

それでも町は廻っている 4 / 石黒正数

★★★★★
切なくて甘酸っぱくて、少し考えさせられる

第4巻は、第3巻のスラップスティック・コメディー色が若干薄まり(ゼロになったわけではないし、ギャグ要素もちゃんとある)、今までとは違ったテイストの話が展開されている。

自分の住む町や村がさびれていくのは厭だ。しかし、活性化の名の下に、急激に環境が変化したり、余所者が大挙してやって来るのも厭だという、田舎独特のジレンマを見事に纏めた第29話。

歩鳥が、同級生・真田広章の微かな記憶を手がかりに、『ミシンそば』を探した二人がちょっと切ない答えに辿り付いた第31話。

歩鳥の弟、猛がメインの第33話は、かつて歩鳥と真田が通ってきた道(参照:第3巻第26話)を、猛と、猛の同級生の伊勢崎恵梨が違う形で通っているさまは、小学生の時の男子同士の世間体のことを思い出し、ちょっと甘酸っぱい気持ちになった。

それでも町は廻っている 3 / 石黒正数

★★★★★
日常の中の非日常

第3巻はSFチックな話はない代わりに、歩鳥を中心としたスラップスティック・コメディーに徹している。

一見すると、何でもない日常生活を描いているように見えるのだが、歩鳥がいる事によって起伏に飛んだストーリーになっている。それでも彼女の周りに皆が集まるのは、他のキャラクターたちの心の広さなのか?歩鳥が『お子様キャラ』だからなのか?それとも憎めない性格故のことなのか?

それにしても、珍奇な女性キャラクターが珍奇な文章のプリントシャツを着るのはもはや『お約束』なのだろうか?(例:『けいおん!』における平沢唯)

あと、「うこばち」という訳の分からない擬音語もツボ。

2011年1月24日

それでも町は廻っている 2 / 石黒正数

★★★★★
S(少し)F(不思議)の継承者!?

一言で言えば、一見平凡に見える日常でも、切り取り方によってはここまで面白くなるという良い例かと。 第13話で歩鳥が虫眼鏡をくっつけて改造したモンブラン(万年筆)を『万年虫』と紹介するくだりは、ドラえもんのひみつ道具を四次元ポケットから出すときの様子を、、第18話(穴)では、ドラえもんの話のオチに良く使われる、ひみつ道具を乱用した結果、超常現象が起きた跡みたいな状態になり、翌日に世間が大騒ぎになって終わるパターン、そして飼い犬ジョセフィーヌは『エスパー魔美』の「コンポコ」を髣髴とさせるなど、藤子・F・不二雄の影響が垣間見える。(但し、コンポコはタヌキ呼ばわりすると激怒するが、ジョセフィーヌは何も理解していないという違いはあるが。)

また、小さな伏線を張るのが旨く、第12話で歩鳥が紺双葉へのお土産として買った『貫一・お宮の置物』が第17話で凶器となってしまうくだりはちょっと笑ってしまった。

あと、アニメ版では分かりませんでしたが、タッツンは必要に応じてコンタクトを使うが、普段は敢えて眼鏡をかけていることを暗喩するくだりと、第18話(穴)において、あの宇宙人が何を言わんとしていたのかが分かるようになっています。

それでも町は廻っている 1 / 石黒正数

★★★★★
小説を読むような感覚

テーマとしてはSlice of Life Story(日常生活モノ)で、一歩間違えれば冗長になってしまいそうなのだが、歩鳥をはじめとした登場人物たちのパーソナリティが強く、漫才の掛け合いを見ているかのよう。そう言う意味ではギャグマンガではあるのだけれど、その一方で、作者は実は小説家になりたかったんじゃないかと思えるほど、話の展開の仕方が小説的な印象、もっと言えば、登場人物が顔見世的に一通り登場し、小~中規模のイベントを通じてさりげなく人となりを読者に刷り込む第一章のような感じを。久々に、次巻以降が楽しみな作品に出会えました。

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