| ★★★★★ 剣道・デジカメ・しゃべる鹿 女子高の臨時教員として初めてやって来た奈良でいきなりしゃべる鹿に「運び番」を押し付けられ、厭々ながらも役目を果たすことになった主人公。 しゃべる鹿だけではなく、校章の鹿・狐・鼠、姉妹校との三校対抗戦、鏡に映る自分の姿など、ぶっ飛んだ設定と言ってしまえばそれまでだが、それにもかかわらず、平城京・平安京・難波宮(なみわのみや)そしてそれ以前の古の史実が絡んでいたり、近鉄電車を含んだ奈良県内と京都市内の街のディテールがしっかり書き込まれているおかげで、何故か「ああ、こんなことがあっても可笑しくないな」といったある一定のアクチュアリティを感じながら読むことが出来た。 主人公の視点だと一部しか見えず、ストーリーと全く関係無いと思っていた様々な事が繋がっていくさまは、まるで理数系な感じの推理小説を思わせ、ストーリー作りの巧さを感じた。そして、もし映像化するとしたら実写ではなくアニメーション映画が妥当だろうなと思いながら、自分の脳内でその画を描き続けていた。また、「堀田イト」という名前の女子高生や、1,800年間この世界を見続け、高いプライドを持つ鹿の好物がポッキーであるという人物(?)設定もなかなか巧い。 ちなみに、ネタバレになってしまうので詳しい事は書かないが、本書を読む時に難波宮の所在地が分かったのは1961年であることを頭に入れておこう。 |