| ★★★★☆ 高校野球への潜在的な願望 ノンフィクション作家である著者が描く、初のフィクション。 現実の野球部で、これはと言うプレーヤーどうしが示し合わせて同じ高校に行くというシチュエーションは、自分の知る限り見たことが無いので、若干リアリティに欠けるにせよ、『平凡な公立校』が高校野球で善戦するというストーリーを描くにあたり、辻褄を合せるためには、やむを得ない部分なのだろう。 「ドカベン」や「MAJOR」同様、神奈川県を舞台にした作品ではあるが、部活動にあまりリソースを注ぎ込むことが出来ない公立校が甲子園を目指すストーリーは、実際の第89回大会で優勝した、佐賀県立佐賀北高等学校を彷彿とさせる。 サッカーの話で恐縮だが、ワールドカップで優勝したナショナルチームと、トヨタカップで優勝したクラブチームを比べたら、明らかにクラブチームの方が強いと言われている。 ナショナルチームでは、多少パフォーマンスが劣っても、同じ国籍の人間からプレーヤーを選ばなければいけないが、クラブチームでは、自分のチームに必要な人材を世界中から集め、適材適所の配置ができるからだ。 高校野球においても同じような図式が、地元の生徒しか来ない公立校と、日本全国に散らばる金の卵をかき集めた私立の強豪校という形で成り立っており、しかも、同じ土俵で戦っている現実。それを踏まえれば、日本人の判官贔屓気質がもろに出ている作品と言えよう。 |